相続登記に使える遺言書とは、「不動産が特定できる」記載のあるものです。
遺言書がない場合に比べ、相続登記の際、添付する書類の量はずっと少ないので遺言書があると相続登記はとてもスムーズになります(もちろん相続人間の争いも減るでしょう)。
なぜなら、
ということが、証明できれば済むからです。
したがって、通常必要となる被相続人の出生から死亡まですべての戸籍謄本を揃える必要もありませんし、遺産分割協議書も不要です。ですので、相続人全員に実印、印鑑証明書をもらう必要はありません。
→遺言書がある場合の必要書類については後述します。
ただ、どんな文言の遺言書でも相続登記に使えるわけではありません。
相続登記に使用できる遺言書には、条件があります。
法律の条件を満たした遺言書とは、次の3つの遺言書です。
※検認とは、家庭裁判所で行いますが、その遺言書がまちがいなくその人が書いたかどうか判定してくれるもので、遺言書の内容まで判断されません。
この3つ以外の遺言書は、法律上は遺言書として認められません。
したがって、被相続人のメモを遺言書だと言って相続登記をしようとしても、上記要件を充たしていないかぎり相続登記はできません。
たとえ法律の条件を満たした遺言書を作成しても、遺言書の内容で不動産の記載があいまいな場合は、相続登記に使用できません。
たとえば「熱海にある別荘は、○○に相続させる。」という遺言書があったとします。
この場合「熱海にある別荘」では、どの別荘か特定できないため相続登記が認められないのが通常です。
仮に熱海に別荘はひとつしかないとか、熱海には被相続人名義の不動産はひとつしかないとします。このような場合、被相続人の名寄帳等、この別荘が特定できれば、法務局によっては登記可能となることもあります。
前述のように、遺言書のあるなしで相続登記にかかる添付書類は大きく異なります。法務局に事前の確認が必要です。
では、相続登記ができるための不動産の記載はどのようにすればよいのでしょうか。
いちばん確実となるのは、不動産の登記事項証明書どおりに所在地番、家屋番号等を記載する方法です。不動産の所在地が地番、家屋番号までしっかりと記載されていなければならないということです。
地積や床面積については、記載されていることが望ましいですが、必ずしも記載されていなければ登記できないというわけではありません。また、地積や床面積は記載されているが、数字が異なるといった場合もあります。地番、床面積まで記載されていれば通常登記できますが、法務局に事前に確認しましょう。
その他の記載方法で、登記ができるがどうかは個別確認になります。是非ご相談下さい。
この不動産の記載は、遺産分割協議書の不動産の記載でも同様です。
営業時間のご案内
9:00-18:30