不動産の競売手続とは、債権者の申立てにより、裁判所が、債務を弁済できなくなった債務者の所有する不動産を差し押さえて、これを売却し、その代金を債務の弁済にあてる手続きです。
競売手続に参加して不動産を買受ける場合、買受人が裁判所に代金を納付すると、裁判所書記官は、
買受人が、金融機関から融資を受けて競売物件を買受ける場合には、①~③の登記に加えて、④抵当権設定登記が必要となります。
①~③の登記と同時に④抵当権を設定するためには、代金納付の前に、買受人と金融機関が共同で、民事執行法82条2項にもとづく申出をしておく必要があります。
具体的な方法としては、まず、金融機関と買受人との間で競売物件について抵当権を設定する契約が成立したら、「民事執行法82条2項の規定による申出書兼指定書」を裁判所に提出します。名古屋地裁の場合、代金納付の3営業日前までに申出書を提出する必要があります。申出書は、金融機関と買受人が連名で作成する必要があります。
この「申出書兼指定書」において、所有権移転等①~③の登記と④抵当権設定登記を同時に、買受人と金融機関が指定する司法書士を使って行いたい、という申出を裁判所にすることになります。
代金納付が完了すると、裁判所は、①~③の登記に必要な登記嘱託書を、事前の申出書によって指定された司法書士に対して交付します。
司法書士は、交付を受けた①~③の登記嘱託書と④抵当権設定の登記申請書を同時に法務局に提出することで、同日に所有権移転と抵当権設定を行うことができます。
民事執行法82条2項による事前の申出を行わない場合、競売代金の納付により裁判所から所有権移転等①~③の登記の嘱託がなされ、買受人に登記識別情報が通知されてから、その後に抵当権設定登記を行うことになります。
ただ、買受人に対して融資を行う立場の金融機関としては、所有権移転から抵当権設定までに時間が空くことが好ましくない場合もあるかと思います。そういった場合には民事執行法82条2項の利用をお考えになるとよいでしょう。
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