当事務所グループの弁護士に依頼し、離婚協議書を公正証書で作成された依頼者様。
依頼者である夫から妻へ、財産分与として渡すものの中に、不動産がありました。
そして、離婚協議の内容として、「本協議成立後速やかに離婚届を提出する」とあります。
財産分与を原因とする所有権移転登記の原因日付は、
(1)離婚後に財産分与の協議が成立した場合には、協議成立の日であり、
(2)離婚前に財産分与の協議が成立していた場合には、離婚成立の日となります。
今回は、上記(2)の場合、つまり、先に財産分与の協議が成立している場合のため、登記原因証明情報としては、公正証書に加えて、離婚日のわかる離婚後の戸籍謄本が必要となります。
(2)の場合、登記申請は離婚届提出後でなければすることができません。
なお、離婚届提出から戸籍に離婚日が反映されるまで数日かかりますので、戸籍の取得時期に注意が必要です。
話し合いにより離婚が成立しました。
居住用不動産には金融機関の抵当権(住宅ローン)が設定されていました。
財産分与として依頼者様の不動産持分を相手方に渡すことになりました。
依頼者様は、「離婚が成立したため、財産分与の内容をきちんと文書にしたい」「住宅ローンの債務者が自分になっているが、不動産を手放すので相手方に変更したい」と希望され、ご相談にいらっしゃいました。
話し合いで財産分与の内容を決めた場合は、依頼者様と相手方、共に登記申請に協力する必要があります。
ご要望に答えるため、まず、 財産分与契約書を作成し、お互いに財産分与の意思を再確認しました。文書化することにより、財産分与の内容が明確になります。
不動産の名義変更は依頼者様と相手方だけでできますが、住宅ローンの債務者変更に関しては、返済能力(債務者の資力)の問題もあり、金融機関との交渉が不可欠です。
金融機関の再審査により、相手方が住宅ローンを返済することを承認してもらうことができ、無事に住宅ローンの債務者変更登記及び財産分与登記が完了いたしました。
このように、財産分与の対象となる土地建物に抵当権が設定されているケースは少なくありません。金融機関と交渉しながら登記を進めていく必要があり、思った以上に時間がかかる場合があります。
離婚訴訟が和解で終了し、財産分与として夫の不動産持分を妻に渡すことになりました。
依頼者様(妻)は相手方(夫)とはもう顔を合わせたくないとのお気持ちでした。
本来、登記申請は相手方と依頼者様の共同申請が原則ですが、 和解調書の中で登記手続をする文言があれば、依頼者様のみで登記手続ができます。
登記が完了すると、登記識別情報(従来の登記済証に代わるもの)が通知されます。
依頼者様が元々所有していた持分についての登記済証と、財産分与を受けた夫持分について新しく発行される登記識別情報をあわせて、不動産全体の権利証となりますので、従来の登記済証も大切に保管する必要があります。
土地の登記済証は、登記申請時の必須書類です。また再発行も認められていません。
このような場合は司法書士が土地所有者の本人確認情報を作成し、移転登記申請時に法務局に提出すれば通常どおり審査され、登記完了となります。 (本人確認情報作成には別途費用がかかります。)
登記済証がない場合には、他にも方法(事前通知制度)がありますが、売買のように金銭の授受がある場合には通常利用しません。
詳しくは、 「所有する土地を息子に贈与したいが、土地の登記済証が見当たらない」をご参照下さい。
Aさんは、Aさんの自宅敷地隣にあるBさん所有の土地(畑として利用)を購入することになったことから、所有権移転登記の相談に来所されました。
登記を申請するにあたり、注意することは多岐にわたります。中でも登記事項証明書(一般的には登記簿謄本とも言われます)を隅々まで確認することは重要です。
購入する土地の登記事項証明書を確認したところ、昭和50年に登記された抵当権設定登記(C銀行を抵当権者、D さんを債務者)がありました。
抵当権とは、お金を借りた人がその返済をできない場合に、土地や建物を担保とする権利のことです。借りたお金を返済できなかったため抵当権を設定した土地や建物を競売などにかけられた場合、抵当権者は売却代金から他の債権者に優先して弁済が受けられることができます。
Aさんに抵当権について聞くと、なにも知らないとのことでした。AさんからBさんに聞いてもらうと、DさんはBさんの父親であることが分かりました。過去にC銀行からやむを得なくお金を借りたが、平成元年に完済したとDさんから聞いているとのことでした。Bさんはお金を完済したので、もう何もしなくてもよいと思っていたとのことでした。
抵当権抹消登記は、基本的に抵当権者である銀行は登記申請をしてくれません。債務者が申請を行うべきという立場で、抹消登記に必要な書類を渡してくれます。債務者の方がその書類ですぐに抹消登記してくれればいいのですが、登記せずに時間が経過し、その書類を紛失するケースがよくあります。
Bさんも抹消に必要な書類である弁済証書(または解除証書)や抵当権設定証書(過去では法務局の印があり登記済証でもあることが多い)、銀行の登記用委任状などは、Dさんから引き継いでいないとのことでした。
住宅ローンなどでお金を借りて、完済したにも関わらず速やかに抵当権設定登記を抹消しない方がおられます。確かに借入金は完済しているので、担保であった抵当権設定登記が存在していて何か実害があるかと言われると、すぐにはないかもしれません。しかし、抵当権設定登記が不動産登記についたままになっていますと、今回のような売買による所有権移転登記をする際に買主から抵当権設定登記を抹消するように言われます。なぜなら買主はその抵当権の被担保債務が完済されているのか分からないからです。自分の買う土地が買って間も無く担保として競売されたらたまりません。また金融機関から新たにお金を借りて土地に抵当権設定登記をする場合にも、その金融機関から被担保債務を完済した先順位の抵当権設定登記を抹消するように求められます。金融機関としてはお金を貸した担保に優先するかもしれない先順位の担保があるのは都合が悪いです。上記のことがありますので、被担保債務を完済抹消に必要な書類を紛失してしまう前に、速やかに抵当権抹消登記をすることをお勧めします。
さて、紛失した抵当権抹消登記の必要書類ですが、再発行可能なものは抵当権者が金融機関であれば再発行してくれます。金融機関に抵当権設定日や債権者、債務者、完済日などの情報を提供し、完済されているのか調査してもらい、確認できれば、必要書類を再発行してくれます。なお、登記済証だけは再発行できませんが、抹消登記申請後に法務局から登記義務者(債務者又は抵当権設定者)に通知をして登記申請が適正であることを示す事前通知制度により対処可能です。
ただし、抵当権者が金融機関ではない法人や個人の抵当権者の場合は、問題が生じることがあります。抵当権者が被担保債務の完済を認めてくれればよいですが、抵当権者が認めない場合、債務者から完済したことを証明しなければならないことになります。その証明ができなければ、抵当権抹消必要書類を再発行してもらえないばかりか、債務の弁済を求められることもあります。こういう場合は債務の消滅時効の主張を検討することになりますが、時間も費用もかかることになります。
以上から、被担保債務を完済したら速やかに抵当権設定登記は抹消することを強くお勧めします。
今回のケースでは、BさんがC銀行に抹消書類の再発行を請求し、再発行書類をもってAさんとの売買契約、決済、登記を行うことができました。
Aさんはお父様を亡くしたのでお父様所有の不動産について、相続登記を依頼に来ました。
今回の相続人は、Aさんと妹の2名でした。相続人間に紛争はなく、Aさんが父親の自宅と敷地を相続するという内容で、遺産分割協議がされました。
しかし、土地建物の登記簿をみると、昭和30年に金融機関ではない企業B社を抵当権者とする抵当権が設定されていました。B社の抵当権についてAさんに伺っても、お父様はB社にかつて勤務していたが、抵当権については知らなかったとのことでした。
そこで、B社に尋ねてみると、B社の総務担当者は、過去に社員に住宅購入資金の補助制度があったということは知っているが、詳しいことは知らないとのことでした。Aさんからは抵当権に関する資料は何も見つからなかったと言われたので、B社の担当者に何とか調べてもらえないかお願いをしました。
1か月後、担当者から、退職した前担当者に聞いて抵当権についての資料を発見できたとの報告がありました。その資料からAさんのお父様が昭和50年に弁済をしていたことが分かり、B社から抵当権の解除証書等の抵当権を抹消できる書類を受け取ることができました。
約1か月
金融機関はお金を貸すことが仕事ですので、弁済等抵当権に関する記録は残っている可能性は高いです。しかし、金融機関以外の一般企業では記録が残っていないことも多いです。
昨今は企業の合併も多く、資料が完全に保管されていないということもあります。
債務を弁済した場合は、目先の費用はかかりますが、ぜひ担保権の抹消登記を速やかにしていただければと思います。
ユーエフジェイ信用保証株式会社は、平成18年1月1日に「三菱UFJ住宅ローン保証株式会社」に商号変更し、平成22年8月1日に東京都文京区本郷三丁目18番14号へ本店移転をしています。
そのため、変更証明書として「現在事項一部証明書」を添付して抵当権抹消登記を行いました。
依頼者様とその妻とで共有している土地と建物について、抵当権が設定されていました。このたび住宅ローンを完済され、抵当権抹消登記を行うこととなりました。
不動産を共有している場合、抵当権抹消登記は、民法252条の保存行為として、共有者のうちの一人からでも申請することが可能です。司法書士への委任状も依頼者様1名のもので問題ありません。
登記申請書の権利者の部分には、共有者全員の住所・氏名を記載する必要があります。その場合、申請人となる1名について、「申請人」であることを追記します。また、今回は土地と建物が共同担保だったため、申請書には共同担保の目録番号を記載し、抹消する抵当権および担保となっている不動産を特定することも必要です。
当初、自己破産を考えて当方の法律事務所にご相談にいらっしゃいました。
古くからの借入先が多数あり過払い金が発生している見込が高かったため、すべての取引履歴を取り寄せました。
うちB社について、物的担保として依頼者所有の土地建物に根抵当権がついていましたが、引き直し計算の結果、過払い金が発生していることがわかりました。弁護士とB社の交渉により和解が成立し、100万円の過払い金を回収することができました。
そして、B社から根抵当権抹消に必要な書類を取得し、弊所において根抵当権抹消登記を行いました。他の借入先に対して発生していた多額の過払い金についても、当方の法律事務所において訴訟により回収し、破産することなく無事債務を整理されています。
奥様と依頼者の方との共有の建物について、A社からの借り入れの物的担保として、依頼者の持ち分に、ずっと根抵当権がついていることを気に病まれてのご来所でした。
当方の法律事務所において債務の引き直し計算をしたところ、A社に対し、過払い金が発生していることがわかりました。弁護士がA社と交渉を行った結果、和解が成立し、過払い金約60万円を回収することができました。
そして、A社から根抵当権抹消に必要な書類を取得し、当事務所において無事に根抵当権抹消登記を行うことができました。
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