ある財産、ある事項の権利関係などを、社会に公示するための制度です。
法務局(登記所)に公簿(登記簿)が備え付らており、誰でも見ることができます。
権利関係を第三者に対抗することができます。(登記の対抗力)
たとえば、売主が不動産をAさんに売買し登記をしないまま、翌日売主が同じ不動産をBさんに売りBさんへの所有権移転登記を行ったとします。売買契約を先にしたのはAさんですが、先に登記したのはBさんです。この場合、所有者として認められるのはBさんです。
また、株式会社の設立など登記が法律上の効力発生要件とされる場合もあります。
会社などに関する商業・法人登記、土地や建物に関する不動産登記、後見・保佐・補助に関する成年後見登記、債権譲渡登記、動産譲渡登記、船舶登記、工場財団登記などがあります。
株式会社、持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)、一般社団法人、一般財団法人、特例有限会社、NPO法人などの登記があります。
登記すべき事項は、株式会社であれば、商号、本店、公告をする方法、目的、発行可能株式総数、発行済み株式の総数、資本金の額、株式譲渡制限に関する規定、役員に関する事項(取締役、代表取締役等の氏名や住所等)などです。
会社を設立した場合や登記すべき事項に変更があった場合には、管轄法務局へ登記の申請をする必要があります。
登記の申請には、申請書と添付書面を提出する必要があります。あわせて登録免許税の納付も必要です。
土地の所在・地番・地目・地積、建物の所在地番・家屋番号・種類・構造・床面積など(表題部の記録事項)のほか、所有者の住所・氏名など(権利部(甲区)の記録事項)、抵当権・地上権などの内容(権利部(乙区)の記録事項)を登記簿に記載し、一般に公開することで、不動産の権利関係が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑がはかられています。
たとえば、不動産を購入・売却した場合、相続・贈与した場合、建物を新築した場合、住宅ローンを利用した場合などに、不動産登記をすることになります。
表題部の登記は、土地家屋調査士が登記申請代理でき、権利部の登記は、司法書士が登記申請代理できます。
不動産の所有者(登記名義人)が死亡した場合に、相続人へ名義変更する所有権移転登記が相続登記です。法定相続分で相続人全員へ名義変更、遺言書に基づき相続人へ名義変更、遺産分割協議に基づき相続人へ名義変更などのケースがあります。
なお、相続登記の必要書類はQ10を参照してください。
専門家(司法書士や土地家屋調査士など)がご本人より委任され登記申請をすることが多いですが、ご本人でも登記申請はできます。
登記申請には必要な書類を作成したり、多くの証明書を揃えたりする必要があるので、手間や時間を考慮すると司法書士等の専門家に依頼することをお勧めします。
商業登記に関する相談であれば、会社の登記事項証明書・定款・株主名簿などをご用意ください。
不動産登記に関する相談であれば、不動産の登記事項証明書・評価証明書のほか、相続登記であれば戸籍謄本・住民票等をご用意ください。
(協議離婚の場合)
(裁判上の離婚の場合:調停・審判・訴訟)
調停調書等に「申立人は、相手方に対し、別紙財産目録記載の不動産を財産分与することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」というような条項がある場合、財産分与を受ける人が単独で登記申請できます。
(抵当権設定登記)
(抵当権抹消登記)
登記を申請する際に、申請内容に応じ登録免許税を納める必要があります。一般的には、登記申請書に収入印紙を貼付する方法によります。
なお、登録免許税の額についてはQ18を参照してください。
(商業登記)
(不動産登記)
商業登記であれば、本店所在地を管轄する法務局へ登記を申請します。ただし本店管轄法務局の管轄外に支店登記がされている場合には、支店管轄法務局へも登記申請をする必要があるケースもあります。
不動産登記であれば、該当不動産の管轄法務局へ登記を申請します。
なお、登記の申請は管轄法務局に限定されますが、登記事項証明書を取得したい場合は、全国どこの法務局でも他管轄の証明書を取得することができます。
商業登記については、原則として登記すべき期間が決められています。
その登記事由が発生したときから、本店所在地において2週間以内に登記申請しなければいけません。(会社法第915条)
登記期限内に登記の申請を怠った場合、過料に処せられる可能性があります。(会社法第976条第1号)
不動産登記ついては、表示の登記(表題部の登記事項)と権利の登記(権利部の登記事項)があります。(詳細はQ5をご覧ください。)
表示の登記は、建物を新築したときから1か月以内、登記事項に変更があったときから1か月以内に申請しなければいけません。
権利の登記には、登記申請の期限はありません。ただし登記には対抗力があります。二重売買の場合には、先に登記をした人が権利者として法律上の保護を受けられます。(詳細はQ2をご覧ください。)
また、相続登記についても期限がないからと放っておくと、さらに二次相続、三次相続となることもあり、相続人が次の世代に移り人数が増えたり、会ったこともない相続人もでてきたりし遺産分割協議をまとめることが困難になってしまいますので、できるだけ早めに相続登記をしておくことが望ましいです。
相続によって土地や建物を取得した場合、相続による所有権移転登記をしなければ何か罰則規定があるという訳ではありません。
そもそも相続登記に限らず、不動産を取得した場合に所有権移転登記を行うのは、その不動産が自分の所有物であることを第三者に主張することを目的とします。登記は自分の財産を守るために行うものであり、義務ではなく個人の判断に委ねられているのです。
(※不動産の物理的現況を表示する建物の表題部登記は、固定資産税徴収等のため、その建物の所有権を取得してから1ヶ月以内に行わなければなりません。これを怠ると10万円以下の過料が発生することになっています。)
では、義務でもなく罰則もないから相続登記をしないままにしておいていいのでしょうか?相続登記を放置すると下記のようなデメリットがあります。
相続登記をしないまま放置している、ということは、相続人間で遺産分割協議を行っていない可能性が高いです。
遺産分割協議を行っていない場合、相続人全員が法定相続分に応じて遺産を共有している状態です。
相続人のうちの誰かが亡くなった場合、その相続人が持っていた遺産共有の権利は妻や子供などに相続されます。
遺産分割協議は相続人全員の同意が必要ですから、相続人が増えるほど協議をまとめるのに苦労するでしょう。現在の相続人間で仲が良いからといっても、その次の相続人とも仲がよいとは限りません。現在仲が良いのであれば、遺産分割協議、相続登記をしておくべきです。
相続した不動産を売却したい、担保にしたい場合は、相続登記をしないといけません。
なぜなら登記簿上、被相続人が登記名義人のままですと、相続人間の遺産共有の状態なのか、遺産分割協議が終わった状態なのか、第三者には分からないからです。
購入希望者や金融機関に対し、不動産は相続人間の遺産共有状態ではなく、自己が所有権を有すると登記に表さなければなりません。
相続人のうちに借金がある人がいて支払いに困っている場合、遺産共有する不動産の持分を売却してしまうことがあり得ます。
またその相続人の債権者に不動産の持分を差し押さえられてしまうかもしれません。
仮に遺産分割協議が終わっており不動産を単独所有することになっていたとしても、その遺産分割協議の内容で相続登記をしていなければ、売却した第三者や差押えをした債権者に不動産の全てが自己のものと主張することはできません(民法909条)。
遺産分割協議済であるとしても、相続登記がされていなければ、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が揃っていなければ、その内容を第三者に証明することができません。
しかし、その遺産分割協議書や相続人全員の印鑑証明書を紛失してしまう恐れがあります。登記していない以上、それら書類を紛失すると、権利の証明が困難になります。
以上のように遺産分割協議や相続登記を行わないデメリットがありますので、早期に遺産分割協議と相続登記を行うことをお勧めします。
借入金を完済した場合、その担保となる抵当権は消滅します(抵当権の付従性)。
しかし、登記所が自動的に抵当権設定登記を抹消してくれるわけではありません。
所有権や抵当権など権利の登記は、個人の権利を保護するためにあるので、公法上登記を義務付けられるわけではないからです。
抵当権の抹消登記の場合は、所有者が抵当権の登記を消すことができる利益があるので、自ずから積極的に動くことになります。
義務ではないので、抵当権の登記をそのままにしておいても誰にも文句は言われません。
しかし、抵当権の登記を抹消せずに放置しておくことで以下のようなデメリットがあるので、返済が終わりましたら、すみやかに抵当権抹消登記をすることをお勧めします。
借入金は完済したが、担保である抵当権の登記を抹消しないままにしている不動産を売却しようとしても、不動産の買主は抵当権の登記を抹消しないと購入してくれません。
なぜなら、借入金が完済されたかどうか、抵当権の登記を流用(流用は原則無効ですが)しているかどうかが買主には分からないので、登記だけ見るとまだ借入金が返済されていないと考えられるからです。
金融機関からお金を借り入れるために不動産を担保にする場合、抵当権の登記を抹消しないと融資を組むことは困難です。
なぜなら上記と同じ理由で抵当権が消滅しているか分からないので、金融機関は自分たちの抵当権が後順位となってしまうと考えるからです。
借入金を完済した場合、金融機関が解除証書、権利証(登記識別情報通知書か設定契約書)、登記用委任状など抵当権抹消に必要な書類一式を渡してくれます。
これを紛失してしまえば、後日抵当権の抹消登記をすることができなくなります。
自分は無くさないと思われるかもしれませんが、相続の時に相続人が発見できないということはよくあります。
抵当権者が金融機関であれば、紛失した書類の再発行(権利証は不可能)ができるかもしれませんが、金融機関が合併などをして資料が紛失して確認できないと言われたり、一般企業や個人が抵当権者であると再発行は非常に困難です。
事務所以外の場所で紛失したり、盗難にあったりしたならば、警察に届出しましょう。警察へ届出のあった落とし物については、届出から3か月間インターネットを利用して検索することも可能です(http://otoshimono.police.pref.aichi.jp/参照)
紛失が確実であれば、管轄の法務局に登録された印鑑の変更をします。法務局での印鑑の変更に必要な持参物は、①新しい会社の登録したい印鑑、②会社代表者の個人の実印、③会社代表者の個人の印鑑証明書(3か月以内)、④法務局所定の改印届書(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001328646.pdf)です。改印届書にある委任状欄に代表者の委任があれば、代理人でも可能です。
なお、新しい会社の登録印(実印)の要件は、サイズと照合性です。具体的には、辺の長さが1センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが3センチメートルの正方形に収まらないものであってはならない、印鑑は照合に適するものでなければならないです(つまりゴム印や一部欠けているものはダメ)。
新しい会社の登録したい印鑑が準備できない場合は、まず管轄の法務局に紛失した印鑑登録の廃止をすることも可能です。
法務局での印鑑登録廃止に必要な持参物は、①会社の印鑑カード、②会社代表者の個人の実印、③会社代表者の個人の印鑑証明書(3か月以内)、④廃止届書(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001328648.pdf)です。印鑑廃止をしますと印鑑カードも同時に廃止されます。廃止届にある委任状欄に代表者の委任があれば、代理人でも可能です。
会社の事業を行なっていない場合は、廃業か休業を選択することになります。
廃業と休業どちらにするかは、いずれ事業を再開しようと思っているかどうかです。
廃業の場合には、解散・清算人選任の登記、清算手続きと清算登記と税務署・県税事務所及び市町村税事務所に廃業届の提出が必要です。
従業員がいる場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」も提出する必要があります。社会保険加入事務所なら年金機構などに「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」も提出しなければなりません。他に事業に許認可が必要であれば、別途必要な手続きがあり得ます。
廃業を選択すると上記の手続きが必要ですが、もう一度会社を設立するならば、その際に会社設立コストがかかってしまいます。しかし再度会社を設立することがなければ、上記の手続きが終われば、原則それで手続きは終わりです。
休業の場合には、各役所に休業の届を出すことになります。解散清算よりも容易に感じます。
休業は廃業と異なり、会社の事業を一旦休止することであり、会社が無くなるわけではありません。会社は残ることになり、登記も残りますので、それに伴い休業届の他に、下記のような義務が生じます。
まずは、①確定申告が必要です。収益事業はしていないので、経理処理不要ですから、申告所得はゼロで提出します。申告をしなければならないのは、2期連続で期限内に申告しなかった場合は青色申告を取り消されてしまうからです。また、申告しないことで青色繰越欠損金の適用も受けられなくなるおそれもあります。
②休業中であっても会社がある以上、役員が任期満了になった場合、それに伴う改選や重任は登記をしなければなりません。辞任や解任も同様です。休業中だからといって、何年も登記せず放っておくと選任懈怠又は登記懈怠により過料を科される恐れがあります。また、株式会社であれば最後に登記してから12年登記せずにいると、法務局の職権で解散登記されるリスクもあります。
③会社が固定資産を所有していれば、休業中でも固定資産税を支払わなければなりません。
休業なら休業届を提出するだけで、解散清算手続きの手間や費用を節約できます。
また、事業を再開した時は、税務署へ通常通り確定申告すればよく、県税事務所と市町村税事務所には、事業の再開の届を提出すればよいです。つまり、一定期間の事業休止や、将来的に事業を再開する見込みがある場合には、休業状態の方がメリット大きいと言えるでしょう。
具体的には、①税務署、県税事務所、市税事務所に休業の届(専用の休業届はないので、異動届出書に休業の旨記載して提出)を提出することになります。
休業届を出せば、法人住民税の均等割が減免又は免除されることがあります。自治体により、対応は分かれますが、いずれにせよ、出しておく必要はあります。
②従業員がいる場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を①に加えて提出する必要があります。
③社会保険加入事務所なら年金機構などに「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」も①にくわえて提出しなければなりません。
④他に事業に許認可が必要であれば、別途必要な手続きがあり得ます。
株式会社の不動産を取締役が購入する場合、利益相反の問題があります。
利益相反とは、当事者の一方の利益が、他方にとり不利益になる行為のことです。株式会社は執行機関である取締役を通じて活動しますので、取締役が自己の利益になるように会社と取引すれば、会社が損失を被ることになります。
取締役は得てして、会社が自分たちのものと思いがちですが、会社法では、会社は株主たちのものと考えているため、会社の利益保護のために利益相反取引になる取引に制限をかけています。制限がかけられている取引は直接取引と間接取引です。
直接取引とは、取締役が自己又は第三者のため株式会社と取引を行う場合です。直接取引を行う場合は、株主総会(取締役会を設置している会社は取締役会)承認を受けなければなりません(会社法第356条第2項)。
取締役は当該取引につき会社の利益が損なわれたり、会社が損害を受けたりすることがないかどうかを判断するために必要な事実を株主総会で開示しなければなりません(取締役会があれば、取引後遅滞なく報告をしなければなりません)。
直接取引の具体例としては
などがあげられます。
会社法は、直接取引のみならず、間接的に取締役が利益を受けるような取引についても制限をしています。間接取引を行う場合は、株主総会(取締役会を設置している会社は取締役会)承認を受けなければなりません(会社法第356条第3項)。
取締役の株主総会への重要な事実の開示、取締役会への報告は直接取引と同じです。
間接取引の具体例としては
があげられます。
株主総会(取締役会)の承認を得ずに行った利益相反取引は、原則として無効です。
但し、第三者の利益保護のため、会社が第三者に対して利益相反取引の無効を主張するときには、その取引が利益相反取引に該当するのに承認を得ていないということをその第三者が知っていたかという事実を、主張・立証しなければならないとされています。
利益相反取引によって会社に損害が生じた場合には、その取引をした、又は関与した取締役は、会社に対して損害賠償責任を負うことになります。
つまり、取引を行った取締役だけでなく、承認決議に賛成した取締役も、過失がなかったことを証明しない限り、任務懈怠として損害賠償責任を負うことになります。この取締役の責任は、利益相反取引に対して会社が承認していても生じます。
なお、取締役が株式会社の株式を100%有している場合は、利益相反は生じていないので、承認は不要です。
印鑑カードがないと、会社の印鑑カードは発行できません。
カードを紛失(又は破損)した場合は、管轄している法務局の窓口で印鑑カードの再発行の手続きをする必要があります。
具体的な手続きとしては、紛失(又は破損)したカードの「印鑑カード廃止届書」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001328648.pdf)と「印鑑カード交付申請書」(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001328650.pdf)を記入して、会社の届出印(会社の実印)を押印し、法務局に持参することです。
窓口では本人確認をするため、運転免許証等身分証明書を持参してください。
廃止届書、交付申請書ともに委任状の欄がありますので、代理人による申請が可能です。
なお、代理で申請する場合、印鑑提出者(主に代表取締役)の生年月日の記載欄がありますので、事前に確認しておいた方がよいでしょう。
登記事項証明書は法務局で取得できる土地や建物又は各種法人の情報です。登記制度は、取引安全の趣旨で設けらた制度ですので、誰でも手数料を支払えば証明書を発行することが可能です。
過去は登記事項を直接登記用紙に職員が手書きで記載しており(登記用紙の簿冊が登記簿)、その用紙を複写し、法務局の証明印を押印したものが登記簿謄本です。
登記簿謄本は管轄の法務局に行き、交付申請することで取得できました。
現在は、法務局では登記事務をコンピュータで処理しており、登記事項は磁気ディスクに記録されているので、その内容を用紙に印刷し証明したものが登記事項証明書です。つまり法務局の事務処理方法と名称が異なるだけで,どちらも証明内容は同じです。
登記事項証明書は、オンライン化により現在では全国の不動産及び各法人の登記事項証明書をどの法務局においても交付を受けられるようになりました。
登記事項証明書の取得には大きく4通りの方法があります。
なお、法的な証明力はありませんが、登記の内容を確認するだけであれば、登記情報提供サービス(https://www1.touki.or.jp/)の利用は簡便です。このサービスは法務局が保有する登記情報をPC画面上で確認、紙に印刷することができます。手数料は334円です。
未成年者は単独で有効な契約をすることはできません(民法第5条)。未成年者が単独で契約をするには、一定のものを除き、法定代理人の同意が必要です。その同意を得ずに行った契約は、取り消すことができます。そういうことから、未成年者が所有する不動産を売却するためには、法定代理人の同意が必要となります。
未成年者の法定代理人とは、大抵の場合は親権者(例えば親)です。親権者がいないときは未成年後見人が法定代理人として選任されます。親権者が両親である場合は、父母双方の同意が必要です。
未成年者が単独で行った契約は、取り消すことができますが、未成年者にとって有益な契約であると法定代理人が確認できるのでしたら、その契約を追認することが可能です。
法定代理人は、未成年者が締結した売買契約に対して同意を与えるだけでなく、代理人として未成年者に代わって売買契約を締結することができます(民法第824条)。なお、この場合も両親がいる場合は、父母が共同して代理人となる必要があります(民法第818条)。
未成年者でも結婚経験があると成年擬制といい、成年になったものとして取り扱われますので、親の代理や同意は不要となります(民法第753条)。
なお、成年年齢を20歳から18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」は,2022年4月1日から施行されます。
成年年齢の引下げによって,18歳,19歳の方は,親の同意を得ずに,様々な契約をすることができるようになります。
例えば,携帯電話を購入する,一人暮らしのためのアパートを借りる,クレジットカードを作成する(支払能力の審査の結果,クレジットカードの作成ができないことがあります。),ローンを組んで自動車を購入する(返済能力を超えるローン契約と認められる場合,契約できないこともあります。),といったことができるようになります。
2022年4月1日より前に18歳,19歳の方が親の同意を得ずに締結した契約は,施行後も引き続き,取り消すことができます。そのほか,10年有効パスポートの取得や,公認会計士や司法書士などの国家資格に基づく職業に就くこと(資格試験への合格等が必要です。),性別の取扱いの変更審判を受けることなどについても,18歳でできるようになります。
しかし、民法の成年年齢が18歳に引き下げられても,お酒やたばこに関する年齢制限については,20歳のまま維持されます。また,公営競技(競馬,競輪,オートレース,モーターボート競走)の年齢制限についても,20歳のまま維持されます。(法務省HP参照)
登記事項に変更が生じたときは、2週間以内にその変更登記を申請しなければなりません(会社法第915条1項)。
そして、株式会社の代表取締役の氏名及び住所は登記事項とされています。
また有限会社においては取締役と監査役の住所が登記事項とされています。
そのため、株式会社の代表取締役または有限会社の取締役、監査役が住所を移転したときはその変更登記を申請します。
変更登記申請の添付書類には、住民票などの住所移転の証明書は不要ですが、移転日を間違えてしまうと行けないので、証明書は取り寄せて確認しておくべきでしょう。
登記が完了しましたら、会社に関係する役所に変更届をする必要があります。例えば、税務署、県税事務所、市税事務所、健康保険・厚生年金の管轄事務所、許認可の管轄事務所、中小企業共済の管轄事務所などです。
私人間の権利義務の関係の成立は個人の自主的決定にまかせ、国家がこれに干渉しないという私的自治の原則から、契約を締結するには、自分の行為の結果を弁識し判断することのできる精神的能力、つまり「意思能力」が必要とされています(大審院明治38年5月11日、新民法第3条の2)。
よって「意思能力」のない人がした契約は無効となります。
「意思能力」を不動産売買の場合で説明すると、売主として売買契約を締結することにより、売った不動産の所有権は買主のものになり、その代わりに売主は代金の支払を受けられると認識できる能力です。
簡単に言うと不動産の売却について合理的に判断する能力と言えるでしょう。
では認知症の人は意思能力がないと言えるのでしょうか?
「認知症」とは、脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の機能の質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態をいいます(介護保険法第5条の2)。
つまり、判断能力の低下と言えるでしょう。
「認知症」の人は「意思能力」がないと考えることは容易ですが、「認知症」で判断能力が低下しているものの、合理的に判断する能力まで失っていない人がいるのも確かです。
また「意思能力」は法律的判断で、「認知症」は医学的判断であり、必ずしもイコールではありません。「認知症」と診断された場合は、「意思能力」があることが怪しい状態と言えるでしょう。
では「意思能力」の有無はどう判断するのでしょうか?
「意思能力」の有無の判断は、問題となっている行為の種類や内容によって異なると言われています。
たとえばおやつを購入する「意思能力」はあるとしても、不動産を売る「意思能力」はないと判断されることがあります。
なぜなら契約内容も複雑で、代金額も高額になるため、重大な結果をもたらす可能性が高い取引だからです。
「意思能力」の有無の判断するには、まずは本人と面談して話をすることです。
面談の中で
①氏名、住所、生年月日などの本人確認
②本人の意思確認
③売却の必要性(お金の使い道)
④本人の生活状況
⑤売却条件が本人に不利か
⑥売却後の代金の受領先
などを本人が明確に申述、説明できるかが判断材料になるでしょう。
また本人だけでなく、家族や介護・看護担当者、主治医、ケアマネジャー、市区町村・地域包括支援センターの福祉関係者等に本人の生活状況や判断能力を聞く必要もあるでしょうし、医師による認知症の簡易テスト、例えば、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」や「ミニメンタルステート検査(MMSE)」をしてもらい、ある程度の点を有していることは、「意思能力」の有無の重要な指標になるでしょう。
面談の記録や映像を撮っておくことも後日の紛争防止につながるでしょう。
本人が「認知症」で「意思能力」があることが怪しい場合は、判断を無理して進めることは危険です。
本人の「意思能力」があることが怪しい場合の「意思能力」の有無の判断は非常に難しく、不動産の売却を進めたいために、親族の希望的観測で判断する恐れがあるからです。
「意思能力」のない者の契約は無効で、第三者保護もされません。
ですから、「意思能力」があるか怪しい場合は、親族等の主観ではなく、客観的な情報を集め、判断することになりますが、判断しかねるときは売却をしないという決断をすることをお勧めします。
不動産を売却したいが「認知症」で「意思能力」がないか、あると判断しかねる時は、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てることが可能です。
ただ成年後見人を選任したからといって、その後見人が本人のためを考慮して不動産の売却をするかは分かりませんし、不動産の売却のためだけに成年後見人の選任を申し立てるのは本人にとってよろしいことかは分からないので、本人のために慎重に検討することが大切です。
また選任後、成年被後見人の居住用不動産の売却には、家庭裁判所の許可が必要ですので、注意が必要です。
まずは、自分の土地に境界標があるか確認しましょう。
境界標は、御影石、コンクリート、プラスチック、木材などの材質でできたもので、頭部に十字や矢印によって筆界点を示すものや、十字や矢印を刻だ金属プレート、金属鋲などのことです。
土地の境界点それぞれに境界標が揃っていることが大切です。
現地に境界標がない場合は境界付近の物にも注意する必要があります。
境界付近の物としては、塀があります。道路についてはU字溝でしょう。
他の物としては、電柱や木を境界標の代わりとしている場合もあります。
これらは正確な境界点を示していないかもしれませんが、境界点を確認する手がかりになることがあります。
境界付近の物についても注意することがあります。
例えば自分の所有物と思っていても、隣地土地所有者は自分のものと思っていたり、境界標の代わりと思っていることもあります。
ですから、動かしたり取り壊したりしようとするときには注意が必要です。
現地を確認したら、図面と現地が一致するか確認します。
図面としては、地積測量図や道路台帳図面などがあります。
地積測量図は、法務局に提出されていることが多い図面です。
法務局にあれば、境界を確認する手がかりになります。
古い年代のものは、図面が法務局になかったり、境界標の位置がわからないものもあります。
道路台帳の図面や座標等は,市町村の土木事務所(道路が都道府県道の場合には都道府県庁土木事務所,国道の場合には国道事務所)に備え付けられており、道路と民有地の境界が分かります。
ただ地域によって、備え付けられていない場合もあります。
また、自宅に保管されている工事の時などに作成された測量図も場合によっては、有効な境界確認の証拠になり得ます。
親や親戚、近所の年長者などに境界について話を聞くということも時には有効でしょう。
現地の境界標や図面などで境界が確認できれば、隣地の土地所有者と境界立会を行います。
立会で境界が確定できれば、境界確定書を作成します。
境界標がない場合は、確定した境界点に境界標を設置します。
理論上、個人間で境界確定は可能ですが、専門家が入らない分、正確性や永続性、客観性に欠けてしまうことがあります。
そうなると、隣地土地所有者と合意はしたものの、互いに認識が異なっていたり、将来に世代が変わった際にトラブルになりかねません。
境界確定は個人間で行うよりも専門家である土地家屋調査士に相談した方が良いでしょう。
土地について工事がある場合は着手前と完了後に境界標を確認しましょう。
例えば、塀を作るときに、施工業者が境界標を一時的にずらしてしまい、そのまま元の位置に戻さないといったこともあります。
また、土砂災害、地震などの災害後にも境界標の確認は必要でしょう。
境界に関してトラブルが生じてしまった場合はどうしたらいいでしょうか?
当事者間で解決できない場合には下記のようなことをすることになります。
(1) 専門家である土地家屋調査士や弁護士などに相談する。
(2) 主に各地の土地家屋調査士会の運営する境界問題相談センター(地域によって名称は異なります)という相談所で相談する。
(3) 法務局や市役所の無料相談会に参加する。
(4) 筆界特定制度の利用する。
(5) 境界確定訴訟をする。
不動産などの物権の権利変動は、権利変動させる意思表示があったときに効力が発生します(民法178条)。
とすれば、早く権利変動させる意思表示した者が優先されるはずです。
しかし、意思表示は目に見えません。
そうすると不動産は誰のものか分からないので、不動産を取引することを躊躇してしまいます。
不動産を購入しようと思ってももう売却されているかもしれないからです。
そこで取引を安全に行えるように、権利変動があったときに登記した者は第三者に権利変動を主張できるということになりました。
民法第178条の意思表示による早い者勝ちから、先に登記した者が優先するという修正が入ったのです(不動産保存の先取特権などの例外を除きます。)。
日本には商業登記制度があり、この制度では会社の取引上重要と定められた事項、会社名、所在地、取締役の氏名などについては、法務局の登記に記録して公開する仕組みです。
こうしておけば、会社と取引をするときに本当に実在している会社なのか、代表者は誰なのか、どのような事業を行っているのかがわかるので、安心して取引を行うことができます。
この会社の取引上重要な情報となる事項を登記事項といい、会社法、商業登記法によって登記する内容は定められています。
たくさんの事項が登記できることになっていますが、中小企業で設立から現在まで特別なことをしていなければ、会社法第911条に設立のために必要な登記事項をとりあえず確認しておけばよいでしょう。
その中でも会社にとって特別なことをしていないが、注意を必要とする登記事項としては、役員の登記されている住所の変更と登記されている役員の任期です。
会社法上、会社の登記事項に変更が生じた場合、2週間以内に変更登記を申請しなければならないと定められています(会社法第915条1項)。
登記を怠ると過料を科されるというルールになっています。(会社法976条1項1号)。
ご自分の会社の登記を確認して、登記事項に変更が生じていた場合は、速やかに登記することをお勧めします。
登記・供託オンライン申請システムを利用することで、不動産登記申請、商業・法人登記申請、動産譲渡登記申請、債権譲渡登記申請、成年後見登記申請(変更の登記等)、供託申請等ができます。
登記・供託オンライン申請システムとは、自宅や事務所のインターネットに接続されているパソコンから登記申請等の手続を行うことができるシステムです。
「申請用総合ソフト」をインストールすることで、登記申請と登記事項証明書等の交付請求を行うことができます。
申請システムを利用する場合には一定の動作環境が必要です。
また、不動産登記等の1申請あたりの申請データ容量上限は10MBとなっており、これを超える場合には、オンライン申請はできません。(登記・供託オンライン申請システムHP参照)
例えば、不動産について相続を登記原因とする所有権移転登記申請をしようとします。
法令により登記原因を証する情報を提供しなければならないため、相続の場合、被相続人の除籍謄本等一式、相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書、遺言書等々、各々の原因を証明する書面を登記原因証明情報として提供しなければなりません。
登記申請はオンライン、添付書類は書面を提出する一般的な申請方法である特例法式では、登記原因証明情報をPDFファイルとして申請情報に添付して提供する必要があり、また、書面の原本も別途提出します。
相続の諸事情により登記原因証明情報が多くなることがあり、PDFファイル化した場合、申請データ容量上限を超えることがあります。
このような場合は、被相続人と法定相続人との関係を図にして表示した相続関係説明図をPDFファイルとして申請情報に添付することで通常解決できます。
また、相続関係説明図を添付することで、相続を証明する戸(除)籍謄本等についてはコピーしたものを添付することなく、登記完了後、法務局から原本還付をしてもらうことができます。
以前より便利にはなりましたが、まだまだハードルは高いように思います。
迷われるときは、登記の専門家である司法書士にご相談ください。
会社の登記事項(例えば商号変更、本店移転、役員の就任退任)に変更が生じた場合は、速やかに変更の登記申請をすべきです。
なぜなら会社の登記に関しては,原則として登記すべき期間が定められているからです。
登記期間は、原則としてその登記の事由が発生したときから、本店の所在地においては2週間内、支店の所在地においては3週間内とされています(会社法第915条第1項,第930条第3項等)。
登記期間を超えてしまった場合は、100万円以下の過料の対象となります(会社法第976条1項)。
仮に登記を忘れてしまっていた場合でも、登記申請は可能ですので、速やかに登記すべきです。
登記期間を1~2か月超えた程度であれば過料を科されることはまれと思われますが、登記期間から離れれば離れるほど過料を科される可能性は高まるでしょうし、過料の金額も大きなものになることがあると思われます。
なお、登記期間である2週間以内の例です。例えば、令和2年10月1日午後1時に株主総会を開催し、商号を変更し直ちに効力が発生したときは、起算日が令和2年10月2日(初日不算入)で、満了日は10月15日となります。
また、例えば令和2年10月1日午後1時に株主総会を開催し、取締役を選任し、その取締役が令和2年10月2日付で就任を承諾した場合は起算日が令和2年10月2日(初日算入)となり、満満了日は10月15日となります。
土地・建物を売買したとき、相続があったときに登記をすることに関して法律上期限はありません。
建物を新築した場合などに行う表題登記は、所有権を取得した者が取得した日又は変更が生じた日から1か月以内に登記申請をしなければなりません。申請をしなかった場合は、原則10万円以下の過料に処せられます(不動産登記法第164条参照)。
しかし、土地・建物の物理的状況を表す表題登記と異なり、権利の登記は登記期限はありません。なぜなら、権利の登記は対抗要件だからです。民法第177条には、不動産に関する権利を有する者が、正当な利益を有する第三者に対して、自己の権利を対抗(主張)するには、原則として登記が必要であると記載してあります。
では、義務ではないから登記しなくていいのでしょうか?
売買時や相続時に登記をしない主なデメリットは下記のようなものです。デメリットを認識したうえで、判断される方がいいと思います。
例えば相続登記では、、、
売買の所有権移転登記では、、、
※真実でない登記は抹消等することは可能ですが、抹消等の登記するために交渉や裁判を経る必要があります。
登記の申請方法は、現在、①書面申請、②オンライン申請があります。
以前は書面申請の方法しかありませんでしたが、平成17年からオンライン申請が導入されました。
①書面申請は、申請書を書面で作成し、添付書類を合綴して、法務局に持参または郵送で申請する方法です。
②オンライン申請は、インターネットを利用して申請情報を法務局に送信する方法です。
オンライン申請は、原則添付書類も全て電子ファイル化して提供する必要がありますが、特例として、申請情報とPDFにした登記原因証明情報を法務局に送信して、添付書面については、登記申請の受付後2日以内に法務局へ郵送または持参して提出する方式があります。
不動産の権利の登記完了時に、その登記申請人登記した不動産の登記名義人がであることを証明するために、法務局から通知される12桁の記号番号のことです。
平成17年3月7日からオンライン化された法務局より、権利の登記を完了すると登記申請した登記名義人に発行されています(それ以前は登記済証でした。)。
登記識別情報は、法務局が書面に印刷して袋とじ(一時、目隠しシール)された状態で、登記名義人に交付されます。
不動産の権利変動の登記をする時には、登記申請人のうち権利変動をされる登記名義人は、自分が登記申請をする不動産につき権利を有する者であることを法務局に証明するために、この登記識別情報を提供しなければなりません。
注意したいのは、過去の登記済証と異なり、登記識別情報通知書を提供できた者が登記名義人本人であると証明できるというより、通知書に記載された12桁の記号番号の情報を提供できる者が証明できるということです。そのため普段から登記識別情報は登記名義人以外の者がみることのできないように管理しなければなりません。
登記済証(権利証とも言われる)とは、不動産登記が完了した際に、法務局が登記を申請した登記名義人に登記申請書の写し(副本)に登記官が「登記済」と押印したものを交付したものです(旧不動産登記法60条1項)。
登記済証が不動産の所有など不動産上の権利を表しているのではなく、登記申請人が不動産の権利を変動させるときに申請人が登記名義人として登記申請をする意思があることを法務局に確認してもらうための本人確認手段の一つです。
現在は、平成17年3月7日に改正不動産登記法が施行され、本人確認は登記識別情報にかわったため、登記済証を発行する制度はなくなりました。しかし、この改正後に初めにする不動産の登記申請には、登記申請人はその不動産に対する登記識別情報をもっていないため、既存の登記済証によって本人確認を行うことになっています。
まずは、紛失した権利証(登記済証)、登記識別情報の不動産登記事項証明書を取得し、その内容を確認してください。
内容に変更があれば、勝手に登記されたことになりますので、その原因の究明と、それを踏まえて抹消等登記をして登記名義の回復をすることになります。
変更がされていなくても、権利証の不正使用を防止するために、印鑑証明書と実印の管理を徹底してください。
そして、紛失で不正な登記がされる差し迫った具体的な危険がある場合は、法務局に不正な登記がされることを防止する申出をすることができます。申出から3か月内に申し出に係る登記の申請があった場合は、法務局から申し出した者に対して通知がされます。
この通知によって、申し出した者は自分以外の第三者から登記申請がされている事を知ることは可能ですが、権利の移動を禁止する趣旨の制度ではないため、提出された登記申請を止めることはできません。
しかし法務局は申請された申請人の登記申請権限の有無の調査をしますので、法務局と打合することによりこれにより申請が却下されることが期待されます。この制度の有効期間は3か月ですから、具体的危険が続けば3か月ごとに不正登記防止申出の手続をすることになります。
権利証(登記済証)や登記識別情報は理由を問わず、再発行はできないので、紛失等した登記名義人が登記申請をする場合、申請必要書類としての代替措置をどうするか、ということになります。
⑴ 事前通知制度
権利証や登記識別情報による本人確認に代えて、法務局から登記名義人あてに「事前通知」(不動産登記法第23条第1項)により本人であることの確認をする制度です。この事前通知は法務局が、登記識別情報を提供すべき登記名義人の住所地へ本人限定受取郵便により、登記の申請の内容が真実ならば2週間以内にその旨の申出をすべき旨の通知をします。
この通知に対して、登記名義人から法務局に2週間以内に申請に間違いがない旨の申出がされることをもって,本人からの申請であることを確認します。期間内に申出がなければ原則登記申請は却下されます。
⑵ 司法書士等による本人確認情報作成
登記申請を司法書士に委任して行う場合には、司法書士が本人であることを確認した旨の書類を提供する方法があります。
この方法は事前通知のように郵送期間がかからないですし、登記名義人が真実の申出をしてくれないことによる申請却下ということはないのですが、費用がかかります。
また司法書士以外に公証人に同様の書類を作成してもらう方法もあります(不動産登記法第23条第4項)。この場合は、公証役場に行く必要があること、作成費用がかかることが注意点です。
法務局が保有する登記情報をインターネットを通じてパソコン等の画面上で確認できる有料サービスとして、登記情報提供サービスがあります。
登記情報提供サービスでは,登記情報を確認できますが、印刷しても認証文や登記官印がありませんので、公的な証明書にはなりません。
利用時間は平日 午前8時30分から午後9時までです。
利用料金は、不動産登記情報・商業登記情報・法人登記情報の全部事項証明書は1通334円、不動産登記情報の地図(公図)・地積測量図・各階平面図は1通364円です(令和2年10月現在)。
利用は、主に次の方法があります。
支払いは、クレジットカード決済となります(法人所有のカードも利用できます。)。カード会社からの請求及びカード会社への支払日並びに支払い方法は利用される方とカード会社間の取り決めに準じます。
クレジットカード決済となります。毎月末日に集計し,翌月16日前後までに御指定のカード会社に請求となります。カード会社からの請求及びカード会社への支払日並びに支払い方法は利用される方とカード会社間の取り決めに準じます。
銀行口座からの引き落としとなります。口座振替ができる金融機関は、都市銀行、地方銀行(全行)、ゆうちょ銀行は確実ですが、他の金融機関は取り扱いをしていない機関もあります。
毎月末日に集計し,翌月の15日前後までに請求書兼領収書を郵送となります。その後,請求書兼領収書に記載された金額を27日(金融機関が休業日の場合は翌営業日)に御指定の口座から引き落としとなります。
申請後に申請人が不備を直すことは可能です。これを補正といいます。
不動産登記の申請をした後に申請書又は添付情報に不備があったことが判明すると法務局担当職員は申請人に電話等で連絡して不備を直すように指示します。
申請者が自ら気づき、法務局に補正を求めることもできます。
補正は、書面申請または郵送申請は、法務局の窓口に出頭して補正をして、オンライン申請の場合には、補正もオンラインで行ないます。
不備があってもすぐに補正ができない場合は、申請の取下げをすることもあります。
取下げを行うと、改めて登記申請の手続きを行わなければなりません。
仮に法務局の担当職員も申請人も不備に気づかず、不備のあるまま登記されたときは登記した時点ですでに不備があるため、更正登記という手続きを取ることになります。
仮登記とは、本登記をするのに必要な要件が整っていない場合に、将来要件が揃って本登記した場合の順位を保全するために、予めする登記です。
本来、登記は法律に別段の定めがない限り登記の先後により優先順位が決定します。つまり登記を早くした者が勝ちます。
ですから、誰しも登記を早くしたいですが、例えば権利証が用意できなかったり要件が満たせないから登記が全くできないのは困ります。そこで仮登記の制度があります。
仮登記をすることによって、後日、本登記をした場合、その本登記は仮登記をした日に遡って、本登記をしたのと同じ効果の発生が認められます。これが仮登記の順位保全力です。
したがって、仮登記だけでは登記本来の効力をもちませんので、仮登記のついている不動産でも自由に処分することができますが、後日仮登記に基づいて本登記がなされた場合には、その仮登記の本登記が優先しますので、先になされた処分は覆されることになります。
ですから、仮登記だからといって過小評価してはいけません。
仮登記のついた不動産を処分する場合は、仮登記権利者と話し合って仮登記を抹消してもらうことが必要です。
登記申請をする方法には,「本人申請」と「代理申請」があります。
本人申請は,申請人自身が必要書類を集め,登記申請書等を作成し申請する方法です。申請手続方法等で分からないことについては法務局において登記相談を受けることも可能です(相談は事前に予約が必要です。)。士業に代理を依頼しない分登記にかかる費用は安くなります。
ですから、誰しも登記を早くしたいですが、例えば権利証が用意できなかったり要件が満たせないから登記が全くできないのは困ります。そこで仮登記の制度があります。
登記の申請は必ず本人がしなければならないものではないので代理人による申請も認められています。本人申請や司法書士以外の者に登記申請を代理してもらうことは可能ですが、登記に関する手続きを代理することを業として行うのは、司法書士か弁護士に限られています。違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(司法書士法78条1項)。
登記の種類・内容等によっては専門的知識や多くの時間と労力を要する場合もあることがありますので、登記代理は司法書士か弁護士に依頼する方が安心です。
印鑑の登録ができるのは、主に⑴市町村に対し個人が、⑵法務局に対し会社などの法人の代表者が行うものがあります。
市町村への個人の印鑑登録証明書は、不動産の登記、自動車の登録や銀行からの借入れ等の重要な手続きに使用します。
そのため、登録手続きや証明書の交付については、厳格な本人確認を行う等、慎重な取扱いをしています。
印鑑登録は、住民登録をしている市町村の役所で行うことになります。
ただし、多くの市町村では15歳未満の方、成年被後見人の方は登録ができません。
市町村外への転出や死亡等により登録した市町村の住民でなくなったときは、その市町村における印鑑登録も抹消されます。
登録できる印鑑は1人につき1個です。
同一世帯で同じ印鑑は登録できません。
登録できる印鑑は市町村により異なりますので、ご確認ください。
大きさは1辺7ミリ以上、25ミリ以下の正方形の中に収まる印鑑とすることが多いようです。
印鑑登録をした印鑑を紛失したときは早めに廃止手続きをして下さい。
法人の印鑑登録は、商業登記法第20条第1項では、登記の申請書に押印すべき者(会社の場合は代表取締役等,法人の場合は理事等)はあらかじめその印鑑を法務局に提出しなければならないとされています。
法務局に提出する印鑑の大きさは,辺の長さが1センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが3センチメートルの正方形に収まらないものであってはならないとされています。
そして印鑑は照合に適するものでなければならないとされています。
印鑑の提出方法は法務局所定の様式となる印鑑届書を管轄の法務局に提出することになり、登録後に管轄の法務局に印鑑カードの交付申請をします。
婚姻中に夫婦で協力して築いた財産がある場合ある夫婦間の財産分与として離婚時に互いの貢献度に応じて財産を分配します。
民法第768条に離婚の際には、相手方に財産の分与を請求することができると定めてられています。
この請求は相手方が財産を隠していた場合を除き、離婚後2年間という期限があります。
財産分与には、夫婦が婚姻中に形成した財産の清算だけではなく、離婚により生活に困る元配偶者への扶養、相手方に対する慰謝料の3つの性質があります。
婚姻中に取得された財産は夫婦の共有財産であることが推定され、その財産の名義によるわけではありません。
ただ婚姻前に購入したものや、婚姻中の相続による取得したものは基本的に財産分与の対象とはなりません。
財産分与の割合は原則的に2分の1ずつとし、一方の特殊な努力や能力によって形成された財産を考慮しつつ、割合を決定します。
分け方としては、
財産に不動産があり、それが登記されていれば、いずれのものにするか決定し、分与された者に所有権移転登記をします。
この不動産に住宅ローンの抵当権設定登記がある場合は要注意です。
ローンした当時の契約書等をよく確認した上で、分与する先を決めなければいけません。
金融機関に言わずに勝手に分与したり、不動産を売却したりすると残債務全額を一括請求される恐れがありますので、当事者間だけでなく金融機関と事前に話し合う事も検討しなければなりません。
離婚時は、顔も見たくないということが通常と思われますが、当然分与されるはずの財産をもらえないことになりかねませんので、きちんと取り決めましょう。
当事者の話し合いで行い、まとまらなければ裁判所において調停、審判、裁判を行うことになります。
通常、住所は町名と土地の地番で表します。しかし、土地の地番は土地の分筆登記や合筆登記をすると、枝番がついたり飛び番や欠番になったりします。そうすると土地の地番は住宅の並びとは必ずしも一致しなくなります。
例えば一丁目10番の建物の隣の建物の敷地地番が一丁目200番1になったりします。このようになってしまうと、住所から土地や建物を探すことが困難になります。
例えば郵便や宅配の配達、パトカー、救急車、消防車のような緊急車両が現場に到着ができないなどの弊害が出てしまいます。
そこで昭和37年に住居表示に関する法律が施行されました。ある地域に住居表示が実施されると、住所は土地の地番で表さず、市町村の決めた一定の法則により建物の場所を表す番号「○○市(○丁目)○番○号」のような市町村が決定する住居表示番号が新しい住所となります。
つまりは住居表示は土地の地番とは別の番号を定めたもので、住居表示がされた地域は土地の地番を住所としては使わなくなったということです。もちろん住居表示された地域でも、土地の地番は今までどおり法務局が定め、土地の場所を表していることに変わりはありません。
固定資産税を支払っている人と登記名義人は原則一致します。法務局で所有権移転登記されると、市町村の固定資産税担当課に連絡がいくからです。よって市町村に変更届を出さなくても固定資産税の納税義務者は登記名義人の届がなくとも変わります。
建物の登記をしていないので、建物を所有権移転しても市町村担当課に連絡しないと納税義務者が変わらないことがあります。この建物未登記の場合は、所有権移転したら市町村担当課に届けを提出する必要があります。
また相続の場合、相続人間の遺産分割協議が難航して、相続登記ができないことがあります。その際は固定資産税の納税義務者は故人のままで変わらないが、支払いを確実にしてもらうため、相続人の代表者の名前を添え書きすることをがあります。
分割することは可能です。
もちろん土地所有者が決めただけでは、登記に反映されませんので、法務局に分筆登記申請しなければなりません。
登記では一つの土地を一筆と呼びますので、一筆の土地を分けるということで、土地を分割することを分筆と呼びます。
そして分筆登記とは、一筆の土地を二筆以上の土地に分割する登記のことをいいます。
分筆登記がされると、分筆された土地には新地番がつき、独立した土地として新たに登記簿がつくられ、公図(地図)に分筆した線が引かれて新地番が記載されます。
分筆登記申請をするためには、現地の測量を行い、隣地所有者と境界立会を行い、境界標を埋設します。
その上で、図面を作成して、分筆線を入れます。
この分筆登記申請を業としてできるのは土地家屋調査士です。
営業時間のご案内
9:00-18:30
事務所外観
主な対応エリアは、以下のとおりです。
【主な取り扱いエリア】
愛知県西部
(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区, 豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市瀬戸市,尾張旭市,長久手市津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村), 一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部
(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部
(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市)
岐阜県南部
(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,恵那市,中津川市, 大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町))
三重県北部
(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
その他のエリアの方のご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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